周囲の自称軍師タイプの人間について思うこと
自己肯定感の高い、自称軍師、参謀タイプのみなさ〜ん
トキトケトークの橋本さん(銀シャリ)の回で発された、「手前のレイヤーとったもん勝ち」という蓮見さんの言葉が忘れられない。言語化能力が高い・・・と感心してしまった。
昨今まさに、手前のレイヤー・・・つまり「より遠くから俯瞰した者の方がなんとなく偉い」という、謎の空気感を感じている、特にSNSで。ネットで一時期見た「自称軍師、参謀タイプ」もなんというか、戦局を俯瞰で見て判断したり、裏から人を動かしたりするのが得意だと自称する人たちだったが、なんだろうこの、抽象的に物事を捉えられる方がスゴイ、という、一部の人が抱く謎の価値観は。
「自分は抽象的な思考が得意だから、コンサルの仕事が向いているはず」という人にも同様の感想を抱くのだが、そもそもこういう人の言う抽象的な思考というのは、物事を曖昧模糊にとらえているにすぎないように思う・・・。「具体的に物事を捉えられないこと」が、「抽象的に物事を捉えられる」に、脳内でなぜか変換されている、気がする。
物事を具体的に捉えられないというのはどういうことか。
要は、自分で手を動かして仕事ができないのだ。
業務を進めるにあたり、5W1Hを具体的に思いつけないし、実践できない。
PDCAのPが曖昧なままで、当然Dもあやふやなままできない、CAにたどり着くこともできない。
手を動かして実務ができない→自分は具体的なことができない→逆に抽象的なことは得意
という謎に誤った思考回路を経て、「抽象的な思考が得意な自称軍師様」が爆誕する。当然、実務ができない人間が実績なしでマネジメント側にまわることなどできず、その妄言を垂れ流し続けるしかないのだが・・・
そもそも具体⇔抽象を反対語として国語で教えられたせいか、二項対立のように捉えられてしまっているように感じる。しかし具体と抽象はグラデーションであり、物事を考える上では、あいだを反復しなければいけない。具体的な経験を積み上げて、それらを抽象化して全体像を掴むという一連の流れは、積み上げができない人には理解できず、曖昧かつ断片的に捉えたことを、抽象化できたと思ってしまうのだろう。「具体的に考えるのが苦手だから抽象的な思考が得意なはず」というのは、「数学が苦手だから国語が得意なはず」くらい、的外れなものに感じられる。
またその手の人たちに陥りがちな思考の癖の一つに、「見えている範囲が全体だ」という思い込みが強いというものもある。
自分が見える範囲内、例えばSNSの情報や、雑談で断片的に得た情報のみで全てを判断し、それが「全体を理解できた」という認識になっている。見えていない部分を創造する力や、例外に弱い。
自称抽象的な思考が得意で、自分の見える範囲が全てだと思い込んでいる人、根底にある「万能感」のようなものがキショいんよな。
自分は他者よりも視座が上である、
自分が具体的に手を動かせないのは、世界を抽象的に見る能力が備わっているからである、
自分が知らない専門性は、自分の抽象化の能力を持ってすればすぐ理解できる、
自分の考えは常に俯瞰的であり、自分のように抽象的に考えられない他者は低い地べたからしか物事が見えていない、
世界は自分を中心に動いているので、見える範囲が全てに違いない、
自分に見えないことは、存在しないのである
的なね。
このキショさの源泉はやはり、いい年こいた大人が自己を客観視できていないこと・・・というより、いい年こいて自分の世界に他者が全く介在してこなかったことな気がする。
この手の万能感は幼いころ誰しも抱いているとは思うが、高校入学、大学入学、就職を経て、他者との交わりの中で、自分の能力や、本当に万能なのかどうかを再定義し続けることになる。得意な分野だと思っていたのに、自分よりも得意な人がゴロゴロいる。上にも下にもたくさんいる、その中で自分はこの程度かな、ということを他者との比較のうえで再確認する
はずなのだが、自称すべてお見通しの軍師様は、その形跡がない、人と自分を比較をする必要のない、幸せな人生を送ってこられたのだろう。
否、誰かと比較する・されることをひたすら避けて、自分は万能であるという妄想のみをアイデンティティにしているのだろう、と勝手に想像している。自己肯定感をどう獲得するか、というと色々な方法があるが、自前でそこまで自己肯定感を高く維持できるのであれば、個体としてはまぁ、強いんじゃないかな。そうなりたいと思うことはないけれど。
ナチュラルに「自分の方が上だ」と思い込めるのは、本当に幸せな人生なのでしょう。このままどうぞ、ご自身の世界に他者の介在を許すことなく、具体的な仕事からも比較からも逃げ続けて、生涯自家発電のみで自己肯定感を維持し続けてください、という気持ち。
幼児のような万能感をいい年こいても抱き続けてしまう精神年齢の低さには、何かしらの・・・何かを感じてしまうが・・・多くは言うまい。てか実務ロクに出来ない(くせに無駄に上から目線の)やつが、「自分はこういう具体的なことが苦手で~抽象的なことが得意だから~マネジメントとかコンサルとかそういう仕事のほうが適性があって~」って言い訳してるの、周りからどう思われるか・・・
なんて考えられたら、この仕上がりにはなってねーか。客体というものは存在しない、この手の方々には。
「より俯瞰で見たもの勝ち」という風潮以外にも、昨今巷にあふれる「物語」にも嫌気がさしていて、「物語化批判の哲学」という新書を読んでいる。なんでもかんでも「物語」にしやがって、世は物語ポルノだらけって言っていいんじゃねこれはもう
という話をしようと思っていたが、なんか長くなってしまったので今日はここで切ろう。
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